商機

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  • 2024年8月5日
商機

  物流の現場は24時間体制で動いている。荷物をより早く届けるため、仕分けや運搬などに昼夜追われ、業務によってはむしろ夜間の方が仕事量も増える。先だって夜間から未明にかけて、新千歳空港の貨物エリアを訪れた。寝ぼけ眼の記者を尻目に、明々と照らされた倉庫内で業務に黙々と汗を流す作業員の姿に、物流の最前線を改めて身近に感じた。

   1日に物流大手ヤマトホールディングスが、貨物専用機フレイターを新千歳―羽田線に就航し、深夜運航を始めた。4月から物流業の運転手不足や輸送力の低下が懸念される「2024年問題」を受け、新千歳―成田線などで導入していた事業。宅配便やネット通販の普及による荷物の増加や小口軽量化などもあり、深夜帯のダイヤ開設で内容を拡充した。

   ヤマトグループと北海道エアシステム(HAC)の貨物輸送実証も始まり、初日はさっそく奥尻産アワビを、HACが奥尻、函館、丘珠の各空港間で空輸。朝取りの新鮮なアワビが、翌日昼に東京都内の飲食店に届いた。業界が直面する課題の解決につなげつつ、新たな付加価値やビジネス機会の創出、地域経済の活性化につなげる狙い。取り巻く環境の変化に対応し、ピンチをチャンスに変えることで、見いだされる商機がある。(金)

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