がん撲滅

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  • 2024年7月19日
がん撲滅

  がんは日本人の2人に1人がかかると言われている。いわば身近な病気で、医学の進歩により治る人も多いが、いまだ死因のトップ。捉え方は人それぞれだが、がんになりたいと思う人はいないだろう。がんのみならず病気と向き合うことは、不安や恐怖がつきまとうものだ。

   記者の母もそうだった。今から約20年前、胃の不調を訴えたが、まず病院に行くのをためらった。子どもにすら症状を隠し、気休めに胃薬を飲んで、耐えていたらしい。記者が「手術をすれば治るから」と無理やり説得し、大学病院を受診した時には、すでにお腹の中でがんが散らばり、手術もできない状況だった。

   抗がん剤治療を受けたが、進行を食い止められず、経過を聞くためとはいえ、医師から「脳にも転移しています」などと告げられるたび、本人も、家族も、気分はふさいだ。もう少し早く病気に気づいてあげていれば、ちょっとでも前に病院を受診させていれば、という思いは今も拭い去ることはできない。

   20、21の両日、苫小牧市末広町の出光カルチャーパークでがん撲滅につなげる催し、リレー・フォー・ライフ・ジャパンとまこまいが開かれる。がんの正しい知識を多くの人が学び、早期の発見や受診につなげてくれることを願う。(金)

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