道内ではこれまで苫小牧港だけだった「釣り文化振興モデル港」に室蘭港と桧山の江差港が新たに指定された。防波堤や堤防など、原則は立ち入りを規制している港の施設を釣り場として活用することに国土交通省がお墨付きを与えた。2港では、早ければ来年にも試行的な釣り行事やプレ開放などが行われ、再来年には本格開放となるかもしれない。
先行した苫小牧港は、2年前から東港の一本防波堤を土・日、祝日限定で4~10月に有料で開放している。全国ではこれまでに16港が指定され、今回は室蘭、江差など5港が追加指定された。
モデル港の政策的な眼目は、防波堤などを観光資源として活用することで地域振興につなげることにある。事実上、黙認状態にあって釣り場として人気、可能性がある既存の施設を有効活用できるなら、地方創生に資するとの期待がある。
この際重要なのは、安全と利便と釣り人のマナーの向上に尽きる。残念なことに道内では事故やトラブル、ごみのポイ捨てなどが原因で釣り人排除の港が増えている。モデル港の取り組みはそうした背景と無縁ではない。規制強化と開放は表裏の関係だ。釣り文化の発展やマナーの向上、自然愛護の理解につながる各モデル港のチャレンジに注目したい。(司)