札幌、函館からサクラ開花の便りが届き、道内は本格的な春の観光シーズンを迎えた。昨季は苫小牧の病院5階の窓からはるか遠方のサクラを見るという無味乾燥な日々を過ごしただけに、今年は華やかに花を付けたサクラを間近に見るのを楽しみにしている。花びらが舞い、落桜花の道を歩くことができれば、曇った心も洗われるに違いない。
サクラは、花が散った直後から来季の開花に向けて準備をするという。用意周到と言うべきか。夏までに花芽を付けると、その後はピタリと成長が止まるのだそうだ。冬の寒さを迎えたところで目覚め、気温の上昇とともに花芽が大きくなっていく。サクラの「休眠打破」というこの仕組みがあって開花時期も変化し、必ずしも温暖な気候の南国のサクラが一番先に花開くわけではないのだそうだ。サクラの「不思議」の一つ。
ロシアとウクライナの戦争は終わりが見えず、中東ではイスラエルとイスラム過激派組織ハマスの戦闘が続く。それぞれの支援国も巻き込み、数え切れないほどの民間人が犠牲になっている。そこに春の陽気さやきらびやかさはなく、不幸の連鎖が増幅している。4カ国・地域の戦火はどうすれば消えるのか。「平和」という文字は少しも見えてこない。(教)