一本防波堤を来年有料開放 モデル港指定で釣り場に 苫小牧港・東港

  • 釣り
  • 2020年9月10日
有料で開放が検討されている苫小牧港・東港の一本防波堤。写真奥は勇払マリーナ
有料で開放が検討されている苫小牧港・東港の一本防波堤。写真奥は勇払マリーナ

  かつて好ポイントして広く知られ、現在はフェンスで封鎖されている苫小牧港・東港の通称・一本防波堤(内防波堤、延長約1030メートル)の先端側約500メートルが、来年夏にも開放される。有料の釣り防波堤とする方向で、苫小牧港管理組合などが検討中。1年程度で課題を整理し、実現を目指す。

   □お墨付きの釣り場に

   管理組合が業界団体の日本釣振興会などと共に国土交通省の「釣り文化振興モデル港」2次募集に応募し、釣り防波堤の事業案を申請していた。モデル港は2018年度の1次募集で新潟港、熱海港、秋田港、下関港など13港、今回の2次募集で苫小牧港と静岡県の御前崎港、長崎県の青方港が追加で指定されている。

   背景にあるのは港での事故防止と安全確保、釣り人のマナーに対する行政の問題意識。規模の大小にかかわらず、全国各地の港で釣り人の海中転落、荷役や水揚げ作業の障害になる岸壁での釣りと釣り人の駐車、係留船舶へのいたずら、ごみの放置などが絶えない。各地の港湾管理者らが頭を抱えている。

   つまり、安全を確保した有料釣り施設として防波堤などを開放し、岸壁の釣り人を減らして事故やトラブルを防いだり、釣り施設でマナーを啓発したりするのが狙いだ。

   □解禁は水路側のみ

   検討する仕組みは、管理組合と同振興会北海道支部などでつくる「苫小牧港海釣り施設協議会」が釣り場を管理、運営する形態。協議会は利用料金や駐車料金の収入で釣り場の安全確保を含めて運営する。

   釣り場は港内となる中央水路側で、時間は夜明けから日没まで。高い擁壁のある外海側は釣り禁止の見通しだ。想定される対象魚はカレイ類やアブラコ、ガヤ、チカなど。季節の回遊魚ではサバ、イワシも釣れそう。投げ、ルアー、サビキのいずれも可能だ。

   一方、現在も人気釣り場の基部側約500メートルは開放の対象外で規制する見通し。消波ブロックが堤体の両側に積まれていて危険なためだ。ただ、ブロック周りは大型の根魚が居付く穴場として知られており、春のクロガシラカレイや大型アブラコは水路の基部側でも魚影が濃い。サクラマスは擁壁のある先端側も含めて外海側が回遊ルートになる。釣り人の期待やニーズとミスマッチする可能性もある。

   □有料に見合う施設へ

   気になるのは、有料に見合う釣果が期待できるかどうか。運営者は釣り場の安全確保、駐車場管理のため監視員を常駐し、救命具・ボート、簡易な事務所やトイレを備える。維持費と人件費を賄うため一定の収入が必要だ。モデル港に係る補助金や交付金の直接的な措置はないため、独自収入で採算を確保しなければならない。各地で有料釣り場の運営実績がある同振興会が今月、試し釣りなども行い、料金の体系や運営の仕組みを詰めていく。

   モデル港の先進地、熱海港海釣り施設はマダイやアオリイカ、シイラやカンパチなど魅力的なターゲットが豊富で人気の釣り場。釣り講習や貸し道具、温泉施設との提携など多彩な展開で話題もつくっている。苫小牧ではどんな取り組みが可能か、管理組合ら関係者は前向きに検討して来年夏ごろの開放を目指す。

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