木材加工製造の佐藤木材工業(本社北斗市、佐藤久幸社長)は9日、恵庭市戸磯の旧商業施設「スーパーセンタートライアル恵庭店」などの跡地に既存施設も活用しながら新工場を建設すると発表した。総投資額は23億円。8月17日に着工し、2021年9月に竣工(しゅんこう)、機械の搬入、試運転を経て22年4月の本格操業を目指す。
佐藤社長が同日、恵庭市役所を訪れ、原田裕市長に報告した。
同社は今月3日に旧商業施設を含む7・4ヘクタールの用地を明和住建(札幌市)から取得した。操業から20年となる苫小牧市晴海町26の苫小牧工場(苫小牧支店プレカット部)の老朽化と狭あい化に伴い、苫小牧工場が担う住宅用プレカット木材の製造機能を移設する。名称は「北海道恵庭工場」とし、同社5カ所目の施設で最大規模の施設となる。
延べ床面積1万5000平方メートルの旧商業施設はそのまま工場と事務所に、隣接の旧映画館(床面積4400平方メートル)は倉庫に利用する。原材料を保管する吹き抜けの倉庫11棟(1棟500平方メートル)を新設。最新鋭のAI(人工知能)ロボットを導入し、作業工程を省力化する。
恵庭工場では月間140棟分のプレカット木材を生産し、生産能力は苫小牧工場の1・4倍となる。敷地と工場の面積は5倍に広がる。従業員は40人を見込み、そのうち地元で35人程度の雇用を予定。工場で生産した木材の供給先は札幌が7割、恵庭など近郊が2割、函館1割を見込む。
移転後の苫小牧工場では、新規事業として鋼製の天井下地材や間柱を製造する。現行30人の雇用は維持するという。
佐藤社長は、恵庭への進出について、「道央自動車道など交通網の充実と北欧や北米から原材料が入る苫小牧港が近いこと。住宅業界は人手不足。作業の効率化と工期短縮にプレカット加工は不可欠で、全道に販路拡大する上でも恵庭がベスト」と話す。