航空教室への思い

  • 土曜の窓, 特集
  • 2023年5月6日

  AIRDOは、社会貢献活動を三つの柱で実施しています。「人を育む」、「自然を大切にする」、「災害復興を支援する」の三つです。そのうち、「人を育む」の中心的な活動が「航空教室」です。これは、北海道庁との連携協定に基づくもので、道内の小中学校の「総合的な学習の時間」という正規の授業として実施しています。通常の学校生活だけでは経験することのできない貴重な機会として喜んでいただいています。

   正確な記録は残っていませんが、第1回は2009年に行ったようで、22年度までの14年間の累計で362校、2万3000人の児童生徒が受講しています。苫小牧市内の小中学校もコロナ前は毎年2校ずつのペースで訪問していました。昨年度は凌雲中学校で実施し、この様子は11月に本紙で取り上げていただいています。今年度は今月中旬に苫小牧ウトナイ中学校からスタートします。航空教室には私も何回かお邪魔したことがありますが、みんな興味津々です。特に小学生は活発に参加してくれます。

   講師は現役の若いパイロット、客室乗務員(CA)、整備士が務めます。パイロットは、フライトに持っていくものや訓練と健康管理の大切さなどを話します。CAはサービスだけでなく保安要員としての役割の重要性を教え、生徒にアナウンスを体験してもらいます。整備士は、飛行機の構造や飛ぶ仕組みを実験スタイルで説明し、安全を支える仕事の誇りを語ります。

   分かりやすく教えるために、それぞれが努力していて、ほほ笑ましく感じます。AIRDOは北海道出身者が多いので、対象校の卒業生がいれば、できるだけ講師に任命します。あまり数は多くありませんが、その時の若い講師と生徒との間には、さぞかし温かなものが流れていることでしょう。

   講義が終了すると、小中学生とは思えない鋭い質問が飛んでくることがあります。ある生徒は「AI(人工知能)による操縦が実現したら、パイロットの仕事はどうなるの?」と質問、若いパイロットが何と答えたのかは秘密にしておきます。

   「北海道の翼」として、北海道の未来を担う子供たちに、仕事への関心を持ってもらう機会をつくることで、少しでもお役に立てればと思っています。そして、このような機会を通じて、将来航空業界で働いてくれる子どもたちがたくさん出てくれば最高だと思います。(AIRDO社長)

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