オオジシギを追って 子どもたちとオーストラリアへ

  • レンジャー通信, 特集
  • 2020年1月11日
ネイチャーセンターでの事前説明会で、子どもたちが書いた「願い」
ネイチャーセンターでの事前説明会で、子どもたちが書いた「願い」
ネイチャーセンターでの事前説明会で、子どもたちが書いた「願い」
ネイチャーセンターでの事前説明会で、子どもたちが書いた「願い」

  明けましておめでとうございます。旧年中は多くの方々にネイチャーセンターをご利用いただき、誠にありがとうございました。レンジャー一同、本年もイベントや調査など、さまざまな活動を進める予定です。どうぞよろしくお願いいたします。

   さて、この号が掲載される頃、私は仕事でオーストラリアの首都、キャンベラを訪れているはず。苫小牧市内の子どもたちと保護者の皆さん10人に同行しているのです。他にスタッフは、昨年12月に着任したばかりの善浪レンジャー、そして通訳ボランティアのUさん。現地では、オオジシギという水鳥が越冬するジェラボンベラ湿地で調査に参加したり、保護に当たる皆さんと交流したりするなど、毎日、盛りだくさんの活動を行なっているだろうと思います。

   オオジシギは、ハト大のシギの仲間。長いくちばしを持ち、湿地や草地に暮らしています。日本(特に北海道)で繁殖した後、何と!赤道を越え、南半球のオーストラリアで冬を越す、渡り鳥です。最近は数が少なくなったと言われ、日本野鳥の会はオオジシギとその生息地を保全するため、2016年にプロジェクトを立ち上げ、勇払原野での生息個体数の減少を明らかにしました。また、2018年5月に、その越冬地から中・高校生を含む11人がウトナイ湖を訪れ、日本の子どもたちと合同調査を行うなどして親交を深めました。そして今回は、繁殖地の苫小牧から、オオジシギを追って越冬地を訪問したというわけです。

   参加者を対象にした事前の説明会では、子どもたちの期待に満ちた笑顔が見られました。さて、皆さんはどんな体験をし、どんなことを感じるでしょうか。楽しみにしています。

   なお、今回の訪問は、札幌市にお住まいだった故越崎清司さんの遺贈により実現したものです。ウトナイ湖の自然を守るために使ってほしいと遺された、越崎さんもきっと喜んでくださっているでしょう。

   訪問した際の様子や現地の自然については、2月2日の「世界湿地の日」に野生鳥獣保護センターで開催する記念イベントの中でお話する予定です。興味のある方はぜひ、どうぞお越しください。

  (日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ・中村聡レンジャー)

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