新緑の季節を彩る 紅色の野鳥

  • レンジャー通信, 特集
  • 2022年5月6日
食べかすを付けたベニマシコの雄
食べかすを付けたベニマシコの雄
ベニマシコの雌
ベニマシコの雌

  暖かな陽気で眠くなる新緑の季節となりました。春はウトナイ湖の野鳥たちが子育てを始める季節でもあります。そんなウトナイ湖の観察路に鮮やかな紅色の姿で現れるのが「ベニマシコ」です。観察路でよく見られる場所は、胸ほどの高さの低い木が密生する、林とヨシ原の中間の環境です。「ピッポ、ピッポ」という鳴き声が特徴的で、その声の付近で静かにしていると低い木の上に出てきてくれます。よく見てみると、時折くちばしに食べかすを付けて現れることもあります。きっと、くちばしよりも大きな新芽などを食べているからかもしれません。観察する際には、ネイチャーセンターで録音した鳴き声を聞いてから、観察路を回るのがお勧めです。

   国内におけるベニマシコは、春から夏に北海道全域と青森県の下北半島の一部で繁殖し、秋から冬には道南や本州以南に移動して越冬します。実は、鮮やかな紅色の姿で見られるのは繁殖期の雄だけで、冬の間の雄は淡い赤色になってしまいます。本州出身の私は、ウトナイ湖に来る前は越冬期にだけ観察していたので、異動してきて初めてこの姿を見たときには、紅色の姿は大変珍しくて興奮したのを覚えています。

   さて、これからの季節は、ベニマシコ以外の野鳥も子育てします。さえずりが聞こえる場所に長時間とどまって観察することは、ひなへの餌の運び込みの妨げを招き、繁殖失敗の原因になってしまいます。野鳥の子育てのため、皆さまにはご配慮いただけましたら幸いです。

   なお、5月8日午前10時30分~同11時30分に「お気軽ガイドウオークinウトナイ湖」をウトナイ湖野生鳥獣保護センターで開催します。先着10人、申し込みと参加費は不要です。当日に野生鳥獣保護センターへ直接お越しください。

  (日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ・瀧本宏昭レンジャー)

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