渡辺臣章(67)は、還暦・古希軟式野球チームを持つ苫小牧シニア倶楽部の還暦部門で選手兼任監督を務める。チームは昨年、北海道選手権4連覇を達成し、旭川布袋クラブを8―4で下した決勝で捕手として3打数3安打2打点と勝利に大きく貢献した。10月の全日本選手権(宮城県)ではベスト16入り。新型コロナウイルスの影響で今シーズンの公式戦は消失したが、鍛錬続行中のチームの現況や次シーズンへの思いを聞いた。
(聞き手・北畠授)
―参加を予定していた今年度の道内外公式戦がすべて中止になったことについて。
情勢を考えれば仕方がないことだが、個人としてはとてもがっかりしている。年間の試合数は、各大会で勝ち上がったとしても十数試合ほど。その数少ない楽しみがすべてなくなってしまったのは寂しい。
―6月に釧路市で開催予定だった北海道選手権では前人未到の5連覇が懸かっていた。
毎年1大会、1試合を大切にしながら戦ってきた結果が、どのチームも成し遂げられなかった5連覇への挑戦権獲得につながった。もちろん、監督を兼務する身として勝たせなきゃいけない重圧もあったが、楽しく野球に取り組む姿勢を忘れずにやってきたのがよかった。5連覇挑戦は来年に持ち越しになったが、スタンスは変えずにいきたい。
―公式戦のない年をどう過ごしていくか。
目標を見失う選手もいると思う。私自身4月から5月にかけてチーム練習の自粛が続く間は自宅でバットの素振りやウエートトレーニングに取り組んだが、成果を発揮する場所がないと思うとモチベーションを保つのが難しかった。6月からようやくチーム活動が再開された。試合がない分、個々人が弱点をじっくり見詰め直す一年にしたい。情勢が落ち着いてくれば、他チームとの練習試合も組んでいきたい。
―今年からチーム内に70歳以上の古希チームが発足した。
生涯通じて野球が楽しめるステージがさらにできたことで、とても刺激になっている。先輩たちに負けないようにしたい。
―来年に達成したいチーム目標は。
初心に帰ったつもりでシーズン開幕戦の道選手権から戦っていく。出場権を持っている秋の全日本選手権は、これまでベスト8が最高。次は一つ上のベスト4入りを狙いたい。今年から千葉浩や田中幸ら実力ある選手が加入し、チーム力が増した手応えはある。
渡辺 臣章(わたなべ・たみあき) 1953年、三笠市生まれ。小学校から野球を志し、三笠高野球部だった1年時には同部が夏の甲子園に出場した。卒業後、苫小牧市役所に就職し、軟式野球の全水道苫小牧に所属。全国級大会出場などを経験した。苫小牧シニア倶楽部には、2013年の創部当初から捕手としてメンバー入りし、2年目から監督を兼務して白球を追い続けている。