春のカレイ釣りが本番を迎えている苫小牧沖で4月27日、51センチのマガレイが釣れた。イシガレイやマツカワならともかく近年、マガレイの座布団級が上がるのは珍しい。「大物マガレイが釣れた」と遊漁船関係者の間で話題になっている。
釣ったのは千歳市勇舞の神出真拓さん(15)=勇舞中3年=。船のカレイ釣りは、70歳代の祖父と大型連休時期の恒例イベント。同日早朝、苫小牧港・西港の遊漁船、征海丸(川田正樹船長)に祖父らと共に乗船し、東港沖のポイント水深20メートルラインでカレイ釣りに臨んだ。
仕掛けは天びんタイプの3本針仕様。餌は生イソメを使った。イソメは途中で切らずにすべての針に3本掛けでセットした。
この日、魚の状態は低活性だったという。各ポイントでぽつらぽつらと釣れるものの、釣果は続かず、釣れたり釣れなかったりを繰り返す厳しい展開。魚も30センチ台のレギュラーサイズのイシガレイを中心に小ぶりのマガレイが時々、顔を見せるという具合だった。
そうして時間が経過した午前10時ごろ、魚信が遠のいたために魚に大きな誘いをかけた際、わずかな違和感を覚えた。「大きくあおってさお先を高く上げたところで、小さくブルブルとさお先が震えた」
マガレイの魚信は、明瞭かつ強めに出ることが多い。神出さんは違和感の正体が気になり、取りあえず仕掛けを回収しようとリールを巻くことにした。
途中まで何らの重みも手応えもなく、すんなりと巻き取っていたものの、仕掛けが表層まで来ると水面に大きな魚の影がフワッと現れた。すると驚く間もなく、とたんにカレイが大暴れ。水中に潜るために下向きに突き刺さるよう激しく抵抗する。神出さんもさおを倒さないように必死に耐え、最後はたも網で無事取り込んだ。船上には乗り合った釣り人らの喝采と驚きの声が飛び交った。
船のカレイ釣行6回目の神出さんだが、マガレイの自己記録はこれまで30センチ。一足飛びにゴーマル(50)アップを達成する快挙に本人もびっくりだ。大物の重量感ある手応えも満喫し、満足感でいっぱいという。「釣りは、仕掛けやポイント、誘い方など考えることがいっぱいある。釣れたときは正解を得たようで、その達成感、満足感が楽しい」とも。地元の川でニジマスやヤマメを狙うこともあり、釣りの面白さにはまっている。
道の水産資源マニュアルによると、太平洋海域のマガレイは18~20センチで多くが成熟するが、3歳の雄で25センチ、雌で30センチ程度。6歳でも雄がやっと30センチ、雌は38センチという。50センチ超となると、「あるいは神出さんと同い年くらいでは」とは遊漁関係者の談。巧みな誘いに思わず乗ってしまったマガレイこそ、「あっぱれ」とたたえているかも?―。