ピンク色で小さく、泡のよう ホザキシモツケの花見頃

  • レンジャー通信, 特集
  • 2022年7月1日
6月28日に撮影したホザキシモツケ

  ウトナイ湖で、「ホザキシモツケ」の花がもうすぐ見頃を迎えます。花を見られる時期は7月末ごろまでです。泡のようなピンク色の小さな花が、枝先に穂のような形で集まって咲くのが特徴です。バラの仲間で、一つの花をよく見るとサクラやモモのような、5枚の花びらを持つ形をしています。湿地から森林の間の湿った環境に生え、人の背丈ぐらいの高さになる低木です。

   環境省が作る国のレッドリストに、絶滅の危険が増大している種として1997年に指定され、2007年に解除となった経緯がある植物です。国では解除となったものの、県ごとでは青森県などで絶滅危惧1類という、近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種として今も指定されています。一方、ウトナイ湖では普通に生えていて、多くの株が集まった群落を見ることができます。あまりにも密に生えているため、レンジャーの仕事で調査のために湿地に入って行く時に、道を阻むくせ者と感じてしまうことがあるほどです。ただ、群落の花畑を見ると毎年見ほれてしまいます。

   今年は、6月28日にオタルマップ川の近くの観察路で開花を確認しました。花は穂の先から根元に向けて順番に咲いていきます。根元が咲く頃には穂先はしおれて茶色くなってしまうため、早めの観察がオススメです。

   苫小牧で普通にホザキシモツケを見ることができるのは、少なくなっている湿地という自然環境が残っているからです。治水が進んだ現代では、災害が無い限り、放っておけば、遠い将来には土砂や枯れた植物で湿地は埋まっていく運命です。その上で、開発が進めば、湿地が無くなるスピードが加速していきます。今は、観察路沿いから簡単に花を見つけることができますので、お気軽に観察にいらしてください。詳しい場所は、ネイチャーセンターやウトナイ湖野生鳥獣保護センターで、レンジャーにご質問いただければと思います。

  (日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ・瀧本宏昭レンジャー)

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