高い海水温の影響なのか、釣期本番が遅れていた苫小牧沖の秋カレイ。本紙釣り倶楽部の情報協力船、かつえい丸(田代健二船長)が10月26日、今季初めての秋カレイ釣りで苫小牧港・東港の沖に向かったところ、60センチ超の大物イシガレイが上がった。シーズン序盤を盛り上げる、うれしいビッグニュースが届いた。
座布団級の見事なカレイを釣り上げたのは、苫小牧市内の看護士、煤孫えり子さん(32)。釣り好きの職場の仲間に誘われ、7年ぶりに船釣りにトライした。釣り自体、今回が2度目というビギナーだ。
この日の釣り始めは午前7時ごろ。開始早々から、乗り合わせた釣り人がぽつぽつとマガレイを上げた。が、煤孫さんのさおは魚信が続かなかった。餌も、魚を誘うためのさおの動かし方も、仲間や周囲のそれらをまねたものの、何が違うのかやっぱり釣果につながらない。周りが20匹以上釣る中、煤孫さんは20~30センチのマガレイとイシガレイ合わせて5匹。何とか釣果を伸ばそうと、とにかく粘って誘い続けた。
「あと5分で上がるよー」。陸上がりの時間が近づいたことを、田代船長がアナウンスした直後だったという。それまでの魚信とは明らかに違う激しい引き。合わせるとひどく重く、すぐに大物と分かる手応えだ。「めちゃめちゃ引いて、もう、どうしよう、どうしようって、慌てるばかりで」。初めて体験する強烈な引きにのされ、さおを持つだけで精いっぱいの煤孫さん。リールを巻くのもままならない。
魚は簡単に浮上せず、腕がしびれるほどの格闘の末、20メートルの海底から現れたのは、仰天するほどの巨大カレイだった。思わず出た言葉も「でかっ。分厚い」。精魂尽き果てたところで、たも網ですくってもらって無事、取り込んだ。同乗の人たちも祝福するビッグサイズ。大物はこの日の夕食、刺し身などにして家族と味わった。
釣行で使ったのは、3本針仕立ての天秤仕掛け。餌はイソメで、適当な長さに切っての1匹掛けで針に付けていた。
今季の秋カレイはシーズン入りが遅かった。かつえい丸も例年だと9月に秋カレイを始めていたが、今季はこの日が初出漁。それだけに、序盤に大物が釣れたのはうれしい出来事。しかも近年、60センチ級はすっかり珍しくなっている。大物が出れば釣り人の期待も膨らむ。短い秋カレイシーズン、今後が楽しみだ。