本格的な開幕が遅れていた、苫小牧―白老沖の昼イカ釣りは、9月最後の休日となった29日、ようやくまとまった釣果の知らせが釣り倶楽部に届いた。白老沖に向かった本紙情報提供船のかつえい丸(苫小牧港・西港漁港区、田代健二船長)では竿頭(さおがしら)が3桁の釣果を上げ、期待を超える大漁となった。
竿頭となったのは苫小牧市宮前町の木村則義さん(77)。「仕掛けは全部、自分で作る。そこに面白さがある」と言うスルメイカ釣り20年以上のベテラン釣り師だ。はしりの時期の胴長20センチ以上の良型を102ハイ釣り上げた。
木村さんはこの日が今季の昼イカ初釣行。シーズンの本格化が遅く、芳しい情報がなかっただけに厳しい釣りも覚悟していた中で、「早朝の1投目から入れ食いだった」と予想を裏切る展開に大喜び。「誘いも何もない。仕掛けを落として底を取ったらすぐにイカが抱き付くほどベタ底の釣りだった。平均3~4連で乗った」と振り返った。
最多で5ハイが1度に釣れるなど、群れの対応を意識した手返しと取り込みに追われて一人忙しい釣りになった木村さん。乗り合わせた他の9人のほぼ倍ほどの釣果に船上で羨望(せんぼう)の的になった。
木村さんは電動リールにPEライン4号を巻き、重りはこの日の水深と潮の流れに合わせて150号をセットした。仕掛けはイカのサイズ感を踏まえ、オッパイ針4号の9本仕立てを選択。色、デザインの異なる針を組み合わせている。
仕掛けには、水中でブルーのLED(発光ダイオード)ライトが明滅する電ケミを最上部に付け、道糸と連結した。昼イカは水深のある海域での釣りとなるため、日光の届かない深場に投入した仕掛けの存在を電ケミの点滅でイカにアピールする効果がありそうだ。
田代船長によると、ようやく本格化の兆しを見せた沖の昼イカ釣りだが、「20年前からみたら2カ月遅れ」という。それでも「昼イカ初日で正直、1人平均20から30釣れればと思っていたら、予想以上に良かった」と話し、ホッとした表情を見せた。
ただ、海水温が高い状況を反映して棚はほとんど底釣り。「今後どうなるかは分からない。季節が進んで大きくなっても釣果が出ればうれしいが…」と話していた。