2年くらい勉強を続けて、2010年10月に気象予報士の資格を取得しました。気象予報士の資格を取得するには、一般的に1000時間は勉強が必要と言われているのですが、私はおそらく2000時間以上は費やしたので、平均よりは時間のかかった方かなと思います。中には半年の勉強で取得したという人が現在の職場におり、世の中にはすごい人がたくさんいるものだと思ったものです。
社会人2年目にテレビで活躍している気象キャスターに憧れを持ってから、北海道へのUターンを希望して資格は取得したものの、道内に限った気象予報士の求人が都合よく、そうそうあるものではなく、今の職場の求人を見つけて転職したのは、資格を取得してから4年後のこととなりました。
資格を持っていても実際の職場で働いてみると、知識が生かせるのは断片的なところで、必要な技術はその他にもたくさんある、というのはどこの職場でも「あるある」だと思うのですが、気象予報士が気象会社で働く場合も、まさにそのような感じかなと思います。
天気予報を「伝える」という仕事も例外ではなく、4月になると天気予報の話題の中心となる桜の開花についても、気象予報士の試験では触れられることがありませんので、その辺りも一から現場で覚えることになります。この他にも、気象キャスターという仕事の内容は、予報士試験の内容とは全く違う側面を持つため、転職して、まずはそこが一番苦労しました。
その側面とは「あいまいさ」が多く含まれている点です。試験では「Aの答えはB」とおおむね決まっており、天気予報も「晴れ」であったり、気温という「数字」であったり、どちらかというと「0か1か」といった情報です。
しかし、天気を「伝える」となると「日中は肌寒く感じられそう」とか「すっきりとしない天気」など、感覚に近い話に変換しなければならず、その感覚も、同じ10度でも、タイミングによっては暖かく感じるときもあれば、寒く感じるときもあります。しかもそれが万人に当てはまる感覚でもないため、伝える情報の組み立て方に転職1年目の当時はかなり悩みました。
諸先輩方の話によると、「季節が一巡すれば分かる」という話ではあったのですが、四季が巡るのを仕事が待ってくれるはずもなく、秋に入社後、冬が終わる前にはラジオブースで話し始めることになります。
(続く)
(気象予報士)